重度、最重度のお子さんへの就労支援 〜なぜ,最初から年金受給者なの?〜【たすく代表のブログ】

○お久しぶりです。今年度は「たすくの療育7」を2巻にしてリリースし、これから教材の整備です。
○今回は、重度、最重度といわれる障がいのある方への就労支援です。実はたすくも苦戦しています。
○軽度、というかちょっと昔は対象じゃ無かった人は、良かれ悪かれクローズアップされてますが、重度、最重度の方の就労移行支援って、どうなんでしょう?
○療育技術は確実に上がっていて、たすく療育も成果を残していますが、このままじゃ、成果が発揮できません。
○何で??と思ってますが、自分たちで事業をしてみて分かったこともありますので、書いてみます。

(本文)
 以前にお知らせしたとおり、お隣の国、韓国では、知的障害特別支援学校の高等部卒業後の「専攻科(1~2年の延長)」の設置率が約50%となっています。(2年前の調査、もっと上がっている可能性あり)
 現地でインタビュー(2回訪問)すると、軽度や中度は就職するが,重度や最重度のお子さんのニーズが高いことが分かります。

 簡単に諦めない、粘り強い教育的支援が描かれる仕組みです。

私がNISE(National Institute of Special Education)時代に、KISE(韓国の同様の機関)と交流して、
「これはKISEはレベルが高いな」と実感したとおり、差が付きました。

 小さい子どもたちの療育について内容をパッケージ化する「たすく療育」というモデルから、
18歳以降の就労移行支援、自立訓練、グループホームの支援についての内容をパッケージ化する「トライフル」というモデルに取り組んでいますが、

「トライフル」で苦戦しています。

一昨年なんかは、「普通のB型だね」とか「障害が重いから仕方ないね」と言われることがありました。
すぐに改善するように現場に行ってみると、確かにそういう側面が出ていて、MTGするとスタッフはみんな、うちのグループがやりたいことをよく分かっています。
「確かに意識が揺らいだ」「軌道修正します」といって、数週間は改善するんだけど、結局、後戻りしてしまう。
これが続きました。
 最近、良くなってきたのですが、就労移行支援や自立訓練事業の現場での対話をとおして、

ほぼ就職先の意識との狭間が問題なんだと分かってきました。スタッフが一般的な風潮に迎合してしまうのです。

企業訪問すると、
 「実習させてくれますか?」とか「障がいのある人の仕事ありませんか?」となるのです。
 これはおかしい話しです。

第1に「就職先」としての打診が先だと思います。
 貴社の障害者雇用の必要性を、具体的な数字やCSRの側面等を駆使してお伝えし、
TRYFULL(トライフル)という事業名がその名のとおり、実習や下請けではない,
本業への就職なのだと印象づけられていません。

第2に「仕事の請負」の営業です。
 貴社のこの仕事をTRYFULLに譲ってくれ、人材派遣でも良いし受注でも良い、単価はできるだけ高くくれ、納品はどの位だ?という営業です。
 日々の仕事時間を単価に変える感覚や、スタッフ(重度の障がいのある方)に給与を支払うという、
当たり前の概念が感じられません。


重度、最重度の障がいのある方が「就職する」という考え方は、一般的、常識的ではありません。
輪を掛けて、経験の浅いスタッフは勉強不足ですから、障害者と触れてみて、一般的な「とても就職できないのでは?」という感覚に陥ります。
そこに「うちの子は重度だから就職なんてとんでもない、身体や心のケアも忘れないで!」
という保護者も存在します。(うちのメンバーは意外にイケイケゴーゴーではない・・・)

中でも一番厄介なのは、二つ目の「スタッフの感性」です。
やはり、働けないなあ、このままなら厳しいなあと思い続けてしまう。(勉強しないから、今は仕方ない。)
最近は、政府の「長時間働くのは悪」キャンペーンがあるから(それ自体は僕は合意している)、
それを勘違いして仕事に夢中にならない方が良いと思っている若者も入って来て、それを変えようとしますが、

この仕事に夢中になれない人は、障がいがある方の支援はできないことに気づかせることが課題です。

多忙(多くは人事)で、早朝や夜間の勉強会も減りましたが、
障害者支援の歴史や、障害者の書いた本、人権や、人間の本質の哲学書などを読んで、
人が人を支援するという、よく考えてみたら高飛車な仕事の感性を磨く行為を続けるしかないのです。

なぜ彼らは,最初から「年金受給者」として、扱われるのですか?
みんな働きたいのです。役に立ちたいのです。
「就労移行支援事業」「自立訓練」のどこに、「年金受給者」が前提となっているのでしょう?

私には、どんなお考えで、この事業に携わっておられるのか、分かりません。
感覚とか感性というのは,そう簡単に変えられません。
入職者には、感覚を確かめて入社してもらってますが、
感性は高める努力をしないと培われない。
感性が育つのかどうかは,私の経験上、教育したから変われるものではありません。
言い換えれば,文字どおり、この仕事に携わるもののセンス(感性)だと思います。
プロなんだからそこは潔く判断したいです。


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